天体写真を撮るためには一般のデジカメではHαの写りが良くありません。
これは赤外カットフィルターの影響で、除去あるいは換装が必要となります
(もしくは専用機であれば最初からHαをほぼ透過するように設計されている)。
この改造は昔から時々やっていたのですが、今回はSONYα7に挑戦しました。
フルサイズ機に手を加えるのは初めてとなりますが果たして上手くいくでしょうか…?
なお、この記事を参考に改造を行う場合は自己責任にてお願いいたします。
改造の参考にしたサイト(海外)
SONYα7の分解改造を行うにあたって以下のサイトを参考にさせていただきました。
・Lenslentals (The A7R teardown)
海外のサイトなので英語で書いてありますが、写真付きなので読解は可能でした。
ただし分解の途中で記事が終わったり飛んでいたりするため、その補完が大変でした。
他にYoutubeも見ましたがやはり自分で触らないと解らないことが多かったです。
マザーボードの分解まではスイスイと
それでは早速、分解に取り掛かりましょう。精密ドライバーと爪楊枝を用意しました。
基本的には見えているネジをどんどん外します。小さいので紛失には注意してください。
またどこのネジかわからない!となる前にメモをしたり写真を撮ったりしましょう。
ちなみに液晶モニターをとめている2本のネジは取り外す必要がありません。
背面フレームの取り外しは少しコツが必要で液晶モニターを傾けると良いようです。
何度がガチャガチャやると外れますが、無理やり引っ張ると割れるのでご注意を。
液晶モニターなどはネジを外しておけばかパッととれて基盤が見えてきます。
海外のサイトではマザーボードと呼ばれているようで処理エンジンなどが見えます。
この基盤はフラットケーブルを抜き、ネジを外すと自然に取れます。
ただしケーブルは非常に繊細なので引きちぎらないように取り扱いを注意してください。
ここまでは順調でした。基本的にiFixitの手順に従えば迷うことはなかったです。
つまずきポイントその1:グリップ取り外し
ところがここで一旦途方に暮れてしまいました。センサーがまだ見えてきません。
キヤノン機などでは基盤のすぐ裏側にセンサーあって取り外しは比較的楽でした。
ところがαの場合はさらに分解を進めなくては取り外しできないようです。
しかしどこを触っても動きようがなく、またiFixitにはこれ以上載っていません。
このまま分解すると壊しそうなので、仕方がなく色々と調べ直していたところ
こんなところからドライバー通すんですね。
最初は何のための穴なのかわからなかったのですが、これで納得です。
あとは電池室を覗くと見えるネジを外すとグリップをぽこっと取り外すことができます。
これで一歩前進しました。しかしまた軍艦部の取り外しが難航してしまいまして…
つまづきポイントその2:軍艦部の取り外し
ここはかなり困りました。海外のサイトでは「簡単に外れる」と書いてありました。
しかし押しても引いても全く持って動きそうにありません。
色々触りながら格闘すること数時間、EVFが偶然外れてしまいました。
EVF自体はシリコンテープで軽く貼りついているだけでこの段階で自然にとれます。
そしてここでようやく気付いたのですがこの裏側にネジが2カ所ついているのです。
まずはこの2本を取り外してみることにしました(奥まっているため取り扱い注意)。
そうすると軍艦部がカタカタ動くようになりましたがまだ引っかかっている。
この引っ掛かりが中々わからなかったのですが、ようやくその原因がわかりました。
左肩の奥の方にもう一本、ネジがあるんですね(A7Rには無い?らしい)。
これをネジ外すととようやく軍艦部をぽこっと取り外すことができました。
いやぁ、ここが一番の山場でした。何せ資料がなかったり、それと違ったり。
もちろん分解には事前調査も大事ですが、実践すると色々な躓きが起きるものです。
最終的には実機を触りながら押したり引いたりしないとわからないですね。
ようやくセンサーに到達
ようやくα7の分解も先が見えてきました。まずは右肩の金属板を取り外し(ネジ2本)。
ここは順番がありましてまず右肩側の押さえを外さないとセンサーに届きません。
そしてさらに2本のネジでセンサーユニットを抑えているプラ&金属板を取り外すと…
ついにセンサーが出てきました!いやぁ、ここまで長くて苦しい、孤独な戦いだった。
赤外カットフィルターの取り外しと組み立て時の注意点
あとは赤外カットフィルターを取り外して逆順で元通りにすればそれで完成です。
と、書くのは簡単ですが実際の作業は分解よりも難易度高いかもしれません。
まずフィルターがかなり密着していて取り外すのに力を入れると割れてしまいました。
使わないので壊れても構いませんが、できれば綺麗に取り外したかったところです。
またフラットケーブルを通したり挿したりするときにも慎重になりました。
断線はもちろん、一見挿さっていても少し斜めになっていると正常に動作しません。
実際組み立て時にEVFが点灯しなかったのですがケーブル挿し直すと治りました。
改造終了、フルサイズミラーレスの天体専用機を入手!
以上でα7の改造はひとまず終わりです。ちなみに改造カメラで撮影するとこうなります。
真っ赤赤。カラーバランスは完全に崩壊していて、とても普段の撮影には使えません。
また天体撮影の場合でも赤外が写りすぎるためやはり適当なフィルターが必要となります。
最近はクリップフィルターという製品も登場していてこれを試す実験機として使う予定。
あと、ナローバンドや逆に赤外を通すフィルターを使って撮影しても面白そうですね。
当時のSONY機なので星喰いやマウントの強度面で不安もあります。
そのため用途は限られそうですが、約5万円でフルサイズの天体専用機を入手。
しかもミラーレス機なのでアダプターでも色々遊ぶことができそうです。
約2ヶ月後には夏の天の川が見え始める季節となりますが今から使うのが楽しみです。
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