TAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2 星空実写テスト

天体写真(機材)
この度TAMRONから新・超広角ズームレンズ、16-30mm F/2.8 Di III VXD G2が登場しました。約10年前ですかね、15-30mmが登場し新星景写真で賑わったのが・・ほぼ同じ仕様のレンズですがミラーレス専用設計で登場し、大幅に小型軽量化されました。この度、貸し出しいただきましたので早速、星空実写テストをしてきました。

ついにG2登場!タムロンの大三元・超広角

この度、ようやくタムロンの大三元(*)の一角、超広角側がリニューアルされました!

特に天体写真を撮る人間からすると、大三元の中でも最もお世話になるレンズです。

それは星景写真を撮る際、広角のほうがより「満天の星空」を表現しやすいからです。

(もちろん標準や望遠を使うこともありますが、個人的には広角の方が使いやすい)

すでに17-28mm F/2.8と言うレンズがあり僕も使っていました。

しかしややパープルフリンジが出ることもあり、完璧な超広角とはいえないものでした。

(最もソフトフィルターでほぼ消えるため、人によっては問題にしないかもしれません)

それがリニューアルされどう進歩したか?早速サンプルを送っていただきテストしました!

(*)大三元;カメラレンズの場合、広角・標準・望遠のF2.8ズームを指してこう呼ばれることが多いみたいです。タムロンの場合は、16-30mm/28-75mm/70-180mmの3本です。既に後者は第二世代G2となりましたが、この度ようやく広角が追いつきました。元は麻雀の役らしい(アカギくらいしか知らない・・)

星空実写画像

レンズの作りなどについては既に動画でもお話ししましたので割愛します。

と言うかいちばんの関心ごとは自分も含め「星空がどれくらい写るか?」だと思います。

(多分、このブログをご覧になっている方の多くは星景・星野写真を念頭に置いているはず)

従ってまずは!何はともあれ!星空実写画像からご覧いただきましょう!

Nikon Z6 (10sec / 8-stack / ISO6400) / TAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2 (16mm / F2.8)

うん。普通によー写るね。

このサイズでは目立つ収差などは一切ないです。広角側は本当にシャープだと感じました。

シャープすぎてライブビューだと星が全然映ってないように見えるくらい。

拡大してもピントを外さなきゃ星とノイズの区別がほとんどつかないくらい。凄いです。

一方、テレ端は・・

Nikon Z6 (10sec / ISO1600) / TAMRON 16-30mm Di III VXD G2 (30mm F2.8)

曇っちまったぜ、ハハ!

梅雨明けしたんですけどねぇ・・どうにもすっきりとした空にはなかなか恵まれていません。

しかしデータにはなると思いますので、後で四隅等倍などはチェックしていきたいと思います。

無限遠の点光源(つまり星!)に対する光学性能の調査

それでは続いて、画像を拡大してより詳しくその光学性能を見ていきましょう。

被写体は当然先ほどの画像を元にするため無限遠の点光源、つまり星となります。

また、比較対象として「旧型」のTAMRON A046の過去画像も間に挟んでいきます。

Sony A7IV (8sec / ISO6400)
Sony A7IV (8sec / ISO6400) / TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD (17mm F2.8)

ただし、ボディが違う(こちらはA7IVなので少し厳し目)ためご注意ください。

本当は完全に同条件にするべきなので、あくまでも「傾向」だと思ってください。


さて、まずはワイド端16mm、開放F2.8の4隅等倍像から見ていきましょう。こちらです。

いかがでしょうか?星のサイズが中央から周辺までほぼ同じに見えてしまいますね。

(厳密に言うと周辺は少し大きくなるが、まさに重箱の隅!と言ったレベルでしかない)

次にModel A046のワイド端、開放F2.8をチェックしていきましょう。こんな感じです。

これもかなり、やる。いや改めて見るとこちらも結構光学性能は高いです。

特に微光星に関してはシャープに映っており、周辺まで大きく伸びることはありません。

一方で明らかに違いが見て取れるのは、中間〜ハイライトにかけての星(条件は異なるが)。

カメラの違いでは説明できないほどパープルフリンジが減少しているように感じました。

また周辺の明るい星についても差が出ていて、特にコマ収差が減ったように感じます。

これは動画でもご覧いただいた比較ですが、ちょっとわかりにくかったので再構成しました。

同じような領域(画角も違うので完全に同じにはできないが)を抜き出すと・・

・A046にのみわずかにパープルフリンジが認められる

・周辺の星の崩れや伸びは、全体として小さくなった

という傾向が出てきます。いくつかの画像をチェックしてもその印象は変わらないですね。

個人的には・・少なくとも広角側では光学性能が上がったんじゃないか、と言う感想です。

背面モニターを見た時にはもっと収束度が違うような感覚もありましたからね〜

(ただカメラのモニターはそれこそ機種によっても違うし、参考にならない点もあります)


一方、テレ端。A064Zの30mm、F2.8の四隅等倍を調べてみると

こちらも良いのですが、ただワイド側には及ばないかな。具体的に見られる点は

・中央からややパープルフリンジや青ハロの傾向が見られる

・周辺部は放射・方位方向ともにコマ収差が現れている

これから少なくとも自分の個体ではテレ端よりもワイド端の方が高性能、となりました。

尚、Model A046についてはデータがありませんでした・・ただこれも正直なんですが

超広角ズームってほぼワイド端になっちゃう

のも事実。特に28mmだとやや半端な感覚なのでテレ端はほとんど撮ってませんでした。

確かに進化した新レンズ!天体写真的にはどうか?

と言うことで個人的には確かに進化を感じた新しいTAMRONの超広角レンズでした。

ただ正直、万人に買え!とは言いません。もちろんですが求めるものは人それぞれです。

i)こんな方にはオススメ!

超広角から準広角まで、いろいろな画角で星景写真を撮るなら最適なレンズと言えます。

また24mmや30mmなど星野写真でも使いたい画角が含まれている点も非常に良いです。

小型軽量にできているため、赤道儀もポータブルでじゅうぶん対応できると思います。

従って荷物に余裕がない時にこれ一本と小さいトラッカー、と言う選択肢はアリですね。

例えば登山とか手荷物制限のある海外遠征では重宝するレンズになるはずです。

ii)旧型A046でも良い?

一方で今回改めて旧型A046もかなり光学性能が高いことを再確認させられました。

ただ、明らかにパープルフリンジは出ますし周辺像の崩れはより大きい印象です。

それでもソフトフィルターをかけることで、それらの欠点はほぼ見えなくなってしまいます。

従ってソフト効果を常用される方にとってはA046の方がコスパ高くて良いでしょう。

(1mm画角が違う、しかも広角側の1mmと言うことでその差はもちろん、ありますが・・)

iii)画角が決まっているなら単焦点

さらに付け加えておくと最近はよく言ってることですが、F2.8は少し暗さを感じます。

もちろん、それは「天体」と言う特殊な状況がそうさせるだけ、本来は大口径なんですが。

とはいえ単焦点であればF1.8やF1.4、最近はF1.2などと言う選択肢も出てきています。

いずれにせよ画角が決まっているなら、単焦点のより明るい一本が幸せになれるでしょう。


なお、この記事を書いている時点で本レンズは発売前となります。

今回はタムロン株式会社様より製品をレンタルさせていたサンプルをレビューしています。

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