改造カメラと天体撮影用フィルター
以前、SONYα7 の赤外カットフィルター除去改造を行いました。
フルサイズカメラの改造は初めてでしたが何とか取り除くことに成功しました。
しかしこの状態では赤外成分が写りすぎてカラーバランスが取れないほど赤化する。
またピントが完全に合わず星が少しボテッとしてしまうといった弊害があります。
そこでどこかに不要な赤外をカットしつつHαを残すようなフィルターが必要です。
これには色々なタイプが存在するため選ぶフィルターにより写りが変わってきます。
またクリップ型であればカメラをバラさなくても簡単に交換できる利点もあります。
干渉フィルター IDAS HEUIB-II MFF-S2 (生産終了品)
そこで色々と物色をしていたのですが偶然購入できたのが、これ。
(これを狙ったというよりはあくまでお手頃価格で入手できたのがこれだった)
IDAS HEUIB-II MFF-S2 というHα強調型の干渉タイプフィルターとなります。
もちろんSONY Eマウント用を購入したのですが既に生産終了となっているようです。
(後述しますが特性が「現代向き」ではないためわざわざこれを求めなくても良いと思う)
取り付けは簡単でマウント面に嵌めるだけです。マグネットでパチっとハマります。
これで不要な赤外をカットしつつHαがよく写るカメラを手にいてることができました。
フィルターの特性と使用時の注意点
さて、このようなフィルターはその特性により完成イメージが大きく変わってきます。
可視光はほぼ全て透過させるタイプから逆に輝線しか通さないものまで多種多様です。
こちらは600-650nmをカットしつつ、Hαより赤側を少し多めに透過させるようです。
簡易的に測ってみると。。
実際にそのような特性になっていますね。ただしこれって現代ではどうなんでしょう。
というのも今は光害は600-650nmあたりに集中していないんですよね。
LEDがかなり増えてきて連続的な成分が増えてきたため、効果はイマイチだと思います。
これは全ての光害カットフィルターに言えることで、今後悩ましい問題となってきます。
省エネということでLED化しましたが光害という点ではタチが悪くなってしまいました。
さてフィルターの話に戻りますが、こちらは干渉タイプということで注意が必要です。
というのも「波の干渉」を利用しているため、光の入射角がかなり影響してしまいます。
正面は良いのですがそれが約20度ずれると特性が大きく変わってしまいます。
加えて周辺でシェーディングが出たり描写が乱れたり。。色々な悪影響が現れてきます。
これを防ぐためにはレンズのテレセントリック性が重要で、細々としたことは置いといて
後ろ玉の径が大きいタイプを選ぶ必要があり、使えるレンズが限られてきます。
もう一つ買ったもの SAMYANG 18mm F2.8
購入したものはフィルターだけではありません。レンズまで買っちゃいました。
SAMYANGの18mm F2.8という小さくて軽い超広角レンズです。ほんと軽い!
これでフルサイズに対応しているというのは手にした時びっくりしました。
SAMYANGといえば14mmが有名ですがそれより少し画角が狭いものの
フロントフィルターが装着できることからもかなり扱いやすくなったと思いました。
しかしながら懸念していたこともあります。それがレンズを後ろ玉から見てみると。。
かなり径が小さいんですね。このレンズ単体で使うなら問題はないでしょう。
しかし干渉フィルターと併用するとなれば危なそうだなとは思っていました。
まぁでも一度は使ってみようということで兎に角、試すだけは試すことにしました。
干渉フィルターと広角レンズの相性はやっぱり…
桜が満開の頃、このセットを手に撮影に出かけてきました。とりあえずテストで。。
ぱっと見は物凄く赤い星雲がよく写っています。特に強調しなくても自然に出ます。
これなら何とか使えるかな?と思って画像をどんどん拡大していったところ。。
だめだこりゃ。
いやー、星の描写が完全に破綻していますね。
レンズの特性かもしれませんが、ともかくこの組み合わせは無理だとわかりました。
まぁ正直、最初からわかっていたところに飛び込んでいった感はありましたがw
本当に干渉フィルターはレンズを選ぶんだなということを身をもって知りました。
やはり星景写真撮るなら純正モデルの方がバランスも良く使いやすい感じですね。
基本的に干渉フィルターは望遠系と組み合わせたほうが良い結果を得やすいようです。
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