改良型7Artisans 10mm F2.8 Fish-eye が星景写真向きな件

天体写真(機材)

f=10mmなのにフルサイズ対応!7Artisans の魚眼レンズ

この度、またまた星景写真向きの魚眼レンズが発表されました。

それが今回紹介する7Artisans 10mm F2.8 II Fish-Eye ED レンズです。

すでに全く同じ仕様のレンズは存在するのですが、その改良型となるようです。

光学系も一新され、特殊ガラスの枚数も増えており、性能の向上も期待できます。

なんと言っても10mmという画角ながらフルサイズにも対応する魚眼という点がその特徴。

今回、サンプル品を提供いただき使用することができましたので、ここに紹介します。

しっかりとした作りのマニュアル型レンズ

まずはつくりを紹介しておこうと思います。まず、鏡筒は金属製のしっかりとしたタイプ。

これは星景写真を撮影する際にも熱伝導性が上がりますので、地味に嬉しいポイントです。

前玉は魚眼らしい、いわゆる「出目金」です。擦りやすいので取り扱いに注意しましょう。

また電子接点は無い、完全にマニュアルでの調整が求められる一本となります。

ピントリングは重めで安心感があり、絞りはクリック感の無い連続的に変化する仕様です。

フィルターは装着不可能となっていますので、使用する際はマウント側に工夫が必要。

なお、今回はSony E用を選んでいますが他にもNikon, Canon, Leica Lに対応しています。

そして・・このレンズが星景写真向きと思った理由はここにもあります。

じんわりと、距離指標などの文字盤が光るようになっているんですね。

暗闇でも視認性が良くしっかりと調整できましたので、これはありがたい限りです。

ただし自ら発光する訳ではなく蛍光タイプなので、光を当てておく必要があります。

なお、600gと割とずっしりしたレンズなので撮影の際はしっかり固定しましょう。

作例紹介:冬のダイヤモンドが楽に収まるワイドな画角

さて、なんと言っても肝心なポイントはその写りです。まずは試しに撮ってみると・・

Sony A7IV / 15sec Fixed / ISO1600 / F2.8 / PS CC

すごく、広い。これでも少し傾きを補正するためにトリミングしているのですが。

この広さは例えば流れ星の撮影などで少しでもカバー範囲を増やしたい場合に有効です。

次に冬のダイヤモンドを意識して撮ってみようとしたのですが・・・あれ・・・?

パッと空を見上げた時にどれがダイヤモンドなのか、一瞬わからなかったんですよね。

というのも二つも明るい惑星があって、まさに惑わせてくる訳です。

ただこれも超広角のいいところなんですが、だいたい向きを合わせれば大丈夫なんですよ。

A7IV / 15X4sec, Fixed / F2.8 / ISO1600 / PS CC, Sequator

最終的には落ち着いて画面見ながら調整しましたが、ダイヤモンドが小さいですね。

冬の大三角なんて小三角にしか見えません。それくらいフルサイズ10mmは広いです。

光学性能の評価:最周辺以外は開放からほぼ完璧

次に光学性能についてですが結論から言うと「最周辺以外は開放からほぼ完璧」です。

おそらく上の2枚の画像から顕著な色収差などは認められないと思います。

色収差に関しては軸上/倍率ともほぼ無し。ただし最周辺が少しケラれたように見えます。

周辺減光がそれだけきついのか、もしくはフードの一部が影になっているかもしれません。

また最周辺を拡大すると次のようになりました。

Sony A7IV / 15sec Fixed. / ISO1600 / 絞りのみ変更

まず開放では明らかにサジタルコマフレアが認められます。F4でもまだ少し残ります。

F5.6でほぼ認められなくなりますが、正直、星空撮影にF5.6は苦しいと思います。

従って明るさが欲しい場合はF2.8、少しシャープにしたいときはF4が実用範囲でしょう。

実際にこの収差の出方はMTF曲線ともよく一致しています。設計値通りという印象です。

ちなみに旧バージョンの曲線も載せましたが、少し表示範囲が違うものの

全体的に新バージョンの方が性能向上(例えば開始点がすでに高い)しているようです。

色収差については分かりませんが、EDレンズが増えた分、改善されていると思われます。

なおMTF通り、乱れるのはほんの最周辺のみですからクロップで対応しても良いでしょう。

具体的には次の白枠の範囲内であればほぼ点像ですから、APS-H程度は余裕で収まります。

またタイムラプス撮影ではそもそもアス比を16:9に変えますので、自然と周辺は消えます。

すなわち状況や使い方によっては特に周辺を意識する必要がない場合もある訳です。

結論:この価格でこの画角、写りも最周辺以外はバッチリ

いかがだったでしょうか?結論としては1本約5万円にしては驚愕の写りだと思います。

当時話題になったSAMYANG14mmを彷彿とさせますが、はっきりそれ以上です。

本当に最周辺さえ目を瞑れば欠点らしい欠点もなく、星がほぼ一点に写ります。

使い勝手も蛍光塗料のおかげで視認性がいいですし、星景写真を意識した作りです。

従ってとにかく広く撮りたい!という方には是非ともオススメしたいレンズです。

特に星空タイムラプスではアス比の都合上、少し広めが必要なこともあるんですね。

去年、14mmでも対応できないことがあったので・・広角の1mmは血の1mmなのです。


なお、毎回のことですがレンズには個体差があります。

あくまで僕のサンプル品の結果ということで参考材料程度にしてくださいませ。

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