明るくなった紫金山-アトラス彗星 C/2023 A3
明るい彗星が地球に接近中で話題になっています。気の早い人は春頃から騒いでいましたが
近日点を通過した後に大きく増光したようです。なんと現在(10/10 21:00 JST /COBS)
-4.9等星(ただし-2.5等まで減光したと言う報告もあり)
という、とてつもない明るさを誇ります。どうしてこんなに明るくなったかというと
ざっくり言うと彗星の位置が良くてミー散乱(前方散乱)が効果的に働くためです。
これは大まかに言えば「天使の梯子」や「朝靄」などで見られる光の散乱現象です。
ただしこの効果ではせいぜい-4.0等星と言う予報でしたから、まだ確認は取れていないですが
もしかしたらバーストも起こしたのではないか?と言われているようです。
どうやって撮影するか?低空+上弦の月と条件は良くない
マイナス等級まで明るくなった彗星は久しぶりと言うことでかなり盛り上がっており
今回は撮影されている方もかなり多いようです。しかし・・条件は決して良いと言えません。
まずはこれからの動向ですが基本的にどんどん暗くなっていきます。これはある予報です。
地球再接近は10月13日ですが太陽からどんどん離れるため、減光スピードが上がります。
特に前方散乱効果は一気に弱くなるためマイナス等級でいられるのはほんの数日間でしょう。
またせっかく明るい状態ですが現時点ではまだ核の部分は地平線の向こうです
(実際には太陽の近くにあるが、これを視認・撮影するのは非常に難しい)。
ただし尾は20度近く伸びていると言う報告もありますから、淡い期待を胸に撮影すると
うん。彗星の尾か筋雲か、全然区別がつかんね。かなり天気が良くないと難しいです。
ある程度、彗星核が見られるようになるのは10月12日ごろからと言われていて
空をシミュレートすると次のようになります(18:00 山口市で計算)。
ようやく西の低空から現れますがこの時、南側に明るい月が出ており空を照らしています。
彗星自体は問題なく見えるかもしれませんが、尾はだいぶ影響を受けてしまいそうです。
(また青天もせいぜい10月15日まで、特に西日本は秋晴れが少ないという予報です。)
そこで対策としてCPLフィルターを入れたほうが良いかなと考えているところです。
このフィルターは太陽の反射光をカットして「白っぽさ」を取るために使われます。
そこで月光に対しても同様の効果がないか?と思案しているところです。
ただし彗星自体にも太陽からの反射光が含まれますから、若干の影響はありそうです。
具体的な撮影設定とレンズ選びの注意点
とまぁ、色々と書き綴ってきましたが具体的な撮影設定はこんな感じでどうでしょうか?
注意点が二つあるとすればまず、露光時間を伸ばしたい時は簡易的なものでいいですから
赤道儀を用意しておくといいでしょう。もう一つはレンズについてです。
尾がかなり伸びている可能性も考慮して超広角レンズを用意しておいた方が良さそうです。
とにかく、中々無いチャンスなので出来る限りの手は尽くしましょう!
最近見つかったC/2024 S1 アトラス彗星!明るくなるが・・
さて、実は最近見つかった彗星がありまして・・C/2024 S1 アトラス彗星です。
こっちはただの「アトラス彗星」ですが、これがまたマイナス等級になるらしいです!
しかしながら残念なことに太陽に近すぎて明るい間に撮影する事はほぼ不可能でしょう。
ある程度撮れるようになった時には既に肉眼で見えなくなっている、と言う予報です。
ちなみにこの彗星は非常に珍しい点がありまして、太陽まで0.008天文単位と
(1天文単位 ≒ 太陽と地球の間の距離)非常に太陽と接近することです。
そのため蒸発を起こす可能性もあり、そもそも生き残れるかどうかわかりません。
なお、近日点通過は10月28日でその時に最大でマイナス4等級まで明るくなる予報です。
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