星景写真向きのレンズ Samyang AF 14-24mm F2.8 FE が登場しました。Schneiderと共同開発のため、非常に高性能にできているようです。ただし値段も1050ユーロと、このメーカーにしては高価な部類です。また今後、新たな広角レンズも予定されているようです。
概要
星景写真では(換算)焦点距離が20mm以下になるような、いわゆる超広角がよく使われます。
これは風景をよりダイナミックに表現することに加え、星空ならではの事情もあります。
それは露光時間が長くなる、あるいは焦点距離が長くなると星が「伸びて」しまうんですね。

だからどちらかというと、広角側が好まれる傾向にあります(目指す表現にもよるが)。
その中でも昔からよく使われているレンズが 14-24mm F2.8 という仕様のズームです。
今回、そのファミリーに新たな一本、Samyang AF 14-24mm F2.8 FE が追加されました。
「Samyang」かつ「14mm」といえばあの伝説のコスパ抜群な超広角レンズ・・
ですが今回はSchneiderと共同開発ということで、やや毛色の違うものに仕上がっています。
その分、お値段は1050ユーロ(日本円で15万円前後)と高価にはなってしまいましたが・・
尚対応マウントについてはミラーレス専用設計、今のところSony Eのみとなっております。
※読みは Samyang(サムヤン)/ Schneider(シュナイダー)
特徴的な光学設計
このレンズの売りは「小型軽量」また「フロントフィルター装着可能」ということです。
光学設計および基本仕様をまとめると次のようになります(LK Samyangより)。

特徴的な点は高屈折率レンズが全体の3-4割を占める事。おそらく小型化の為でしょう。
その効果もあって77mm径のねじ込み式フロントフィルターも使えてしまうようです。
ソフトフィルターやスタリーナイトなどが使えるわけです(ソフトは少し注意が必要)。
もちろん、非球面やEDなども配置されており光学性能も確保している事だと思われます。
その辺りについてはMTF曲線にも現れていますね(ほぼ全域で0.6以上を確保)。

ところでこの仕様のレンズは人気が高いためか、色々なメーカーが用意しています。
次に幾つかの(ミラーレス用の)14-24mm F2.8と比較しながらその違いを見ていきましょう。
他のメーカーとの比較
・SIGMA Art 14-24mm F2.8 DG DN
SIGMAから発売されているものです。Sony E の他に Leica L を選択することも可能です。
光学性能については折り紙付きで「星景写真に最適」とメーカーが謳っているくらいです。

MTFにもそれがよく現れていて、全体的にSIGMAの方が高性能に見えます。
しかも波動光学的、つまりより厳しい条件であるにも関わらず、このグラフです。
どちらかというとワイド端の方がより良いですね(14mm使う人が多いから?)。
・NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Nikonから発売されているものです。「神レンズ」と呼ばれた14-24の後継モデルです。

これもNikonが力を入れた一本なので、超広角とは思えないMTF曲線が現れています。
特に広角側は本当に素晴らしく、このレンズを実写した時にそれを実感しました。
一方で24mmについてはSamyangの方が特性は素直でより良い領域もあります。
ただ個人的にはMTFほど悪くないように感じました。それよりも思ったことがあって・・
いくつかの注意点
さて、SamyangがSchneiderと共同開発で世に送り出した超広角、中々の出来栄えです。
ただし購入に際してはいくつか注意が必要かと思います。まず・・
F2.8は意外に暗い
ということです。これがNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sを実写した時に思ったことなんです。

昔はそう思わなかったはずですが、今やF1.8やF1.4などもっと明るいレンズが存在します。
しかも開放から周辺までシャープなので明るければ明るいほど天の川もよく写ります。
加えて今後、Samyang-Schneiderラインで新しい広角単焦点が予定されているんですね。
焦点距離やF値などわからないこともありますが、より優れたレンズになる可能性もあります。
値段が昔のSamyangプライスなら良いのですが、そんなにお求めやすくもない・・
星景写真向きではありますが、ズームが必要なければ他に良い選択肢がありそうです。
ジンバル動画などでは活躍しそうですけどね。
それにしてもF2.8が暗く感じるとは、とんでもない時代になってしまったものですネ。。
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