ナロー系フィルターの利点・欠点と活用法

天体写真(機材)
光害地でも星雲の撮影をするために活用される、ナロー系フィルター。実際に撮影地で取得したL(輝度)のデータと、SV220で撮ったものを比較してみました。やはり3nmタイプ、効果は絶大な一方で、改めて暗い空での撮影も必要だと実感させられました。

ウルトラナロー(3nmタイプ)SVBONY SV220

今回もナロー系フィルターに関するお話です。只今、テスト中の製品がこちらのフィルター。

HαとOIII付近に感度を持ち、その帯域幅が3nmと非常に狭いタイプとなっています。

つまり輝線を発する天体には高い感度を持ち、余計な光害をバッサリカットできるわけです。

このようなフィルターは、都市部からの撮影に高い威力を発揮する事がわかっています。

わかってはいるのですが改めて今回、実写比較するとその効果を実感させられました。

一方で光をカットする都合上、原理的に写らなくなる領域もある等、明確な欠点もあります。

撮影地のL(輝度) V.S. 光害地のSVBONY SV220

まずは撮影結果からご覧いただきましょう。こちらは撮影地の、暗い空で撮った一枚です。

撮影地のL(輝度)

QHY11(Gain21, Offset114, Exp600sec)/Astrodon Truebalance-E L/F4.5

画像処理はデジタル現像とトーンカーブ調整くらいで、一次処理は行なっていません。

あくまで写りを確認するためにテスト的に現像してみた、と言ったところです。一方で

光害地(SV220使用)

QHY11(Gain21, Offset114, Exp600sec)/SVBONY SV220/F4.5

これも画像処理は上とほぼ同じ(ただし、光学系は異なります)カメラやその設定も同じですが

光害地で撮影した写真の方が、よく写ってる!

確かにフィルターは使いましたが、一瞬「遠征の労力は何だったの?」と、思いましたよ。

実際にサイドバイサイドで上の画像を比べてみると(サイズは若干調整をしています)・・

これだけの違いがある事がわかります。ただ、よく見ると次のような点が浮かび上がります。

  • SV220を使用した方が背景と星雲の分離が良く、細部までよく見えている。
  • また星のサイズが一回り小さくなることで、より青雲が浮かび上がってくる。
  • ただし青丸で囲った領域のように「青い青雲」がSV220ではほとんど映らない。
  • また矢印で示した暗黒領域のコントラストは、全体的にLフィルターの方が高い。

いずれにせよ、やはり暗い夜空で輝度情報を取得することに、改めて意味を感じました。

ナロー系のフィルターは特性上、どうしても「写らない」場所が出てきてしまいますね。

またSV220の場合は「なんちゃってAOO」も可能ですが、カラーバランスは整わない。

個人的にはモノクロで撮影し、次のようにL成分に足して活用する方が良いと考えています。

L+SV220フィルター;加算平均した結果・・

最後に実験的にL+SV220で撮影した画像を加算平均してみました。L+…の一種です。

使った光学系が異なるため、画素数が少し合わないのですが、ひとまず試してみると

いかがでしょうか?当然と言えば当然ですが、両者の画像の平均的な写りとなりました。

よく言えばいいとこ取りですが、悪く言えば少し中途半端なようにも感じてしまいます。

この辺りはキッチリ画素数を合わせたり、ブレンド割合を変えたり、改善や工夫の余地アリ。

ただ撮り方の一つとして、LRGBを一度撮っておけば後はナロー系で・・

と言った手法も、十分に成り立つと思いますので、覚えておいて損はないかと思っています。


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