滲み効果をもたらすソフトフィルター
星空の撮影でも色々なフィルターワークが行われますが、最もポピュラーなものは
これらのソフトフィルターです。イルミネーションの撮影でもよく使われますね。
幻想的な表現をすることに適しており、クリスマスシーズンにぴったりな訳です。
今年に入ってLEEソフトの代わりにリア・プロソフトンが発売され話題にもなりました。
(ただしずっと品薄状態な上に3枚セットしか発売されていない、という状況です・・)
これらのフィルターは星景写真や時折、星野写真でも使われることがあります。
ソフト効果をかけることによって星の存在を強調するわけですね。こんな感じに。
特にデジタル時代に入った頃、星の色が出にくいと言われることが多く
その対策としてソフトフィルターが注目されたように記憶しております。
ここではソフトフィルターの配置位置と写りの違い、それぞれの利点・欠点について
実際に使ってみて感じたことを踏まえ、まとめておきたいと思います。
イルミネーションの撮影などにも応用できると思いますので、今一度確認しておきましょう。
フロント型(レンズ前玉の前に配置)の特徴
さて、まずは枠付きフィルターなどよく使われる方法ですが、フロント型についてです。
(一般的な呼称ではないかもしれませんが、ここではリアに対してフロントと呼びます)
フロント側のメリットは次の通りです。
- 交換や装着が容易
- シート状でも枠付きでも使用可能
- 基本的に加工の必要がない
逆にデメリットとしては次のような点があげられます(写りにも影響します)。
- 周辺の星が楕円になりがち
- ケラれの原因になり得る
- 出目金レンズには装着不可
実際に撮ってみるとこうなります(拡大比較は後でご覧いただきます)少し星が伸びる・・
リア型(レンズ後玉の後に配置)の特徴
次にリア型の例です。最近はクリップフィルターも一般的に出回るようになり
こちらもよく使われるようになりました。E-M1 Astroなんか純正があるくらいです。
(ケンコープロソフトンが「リア」と呼んでいる為、これに倣うことにしました。)
リア側のメリットは次の通りです。
- 周辺の星までほぼ円形で写る
- よほど特殊なレンズでない限り使用可能
- 気をつければケラれることは少ない
逆にデメリットは次の通りです(基本的にフロント側と利点・欠点が入れ替わります)。
- 多くの場合、加工が必要
- 夜間の撮影で交換が困難
- センサー面に近く気を遣う
実際に撮ってみるとこんな感じです(フィルター以外の撮影条件は全て同じにしてあります)。
このサイズだと分かりにくいと思いますが、フロント型より星が丸くなっています。
比較のため拡大してみましょう(ほぼ同じ領域、同じ星で比べます)。
しっかりと違いが見てとれますね。ちなみにソフト効果が若干違いますけどこれは
使ったフィルターがNo.4とNo.5でそれぞれ異なっているためです。
(本当は条件揃えたいのですが、入手困難なLeeフィルター加工したくないので・・)
いずれにせよ写りのことだけ考えるのであればリア型にしたほうがいいと思います。
ソフト効果の是非:ご利用は計画的に
最後にですがソフト効果自体の是非についても触れておきましょう。
星景写真ではよく使われるのですが、良いことばかりでなく、デメリットもあります。
- ソフト効果を強くするほど解像感が落ちる
- 露光時間を伸ばせば伸ばすほど滲みすぎる
実際に次の例は(好みにもよると思いますが)地上のライトが少し滲みすぎに見えます。
この場合、星空部分だけにフィルターをかければ良かったのですがリア型なので
調整ができなかったです(ある意味でリア型のデメリットと言えるかもしれません)。
とにかくソフト効果はプラスばかりではありません。目的やによって使い分けが必要で
基本的には露光時間とソフト効果は反比例の関係にあると思って良いでしょう。
ちなみに今回撮影で使用した機材はNikon Z6とViltrox 16mm F1.8です。
カメラはもう少し古くなっていますが星空の撮影では(最新の機能があまり関係ないこともあり)
まだまだ使えます。Viltrox 16mm は相変わらずコスパ抜群の超広角ですね。
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